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「菜園の旬」12か月

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「菜園の旬」12か月

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「菜園の旬」12か月
作者 : 藤田 泰正
定価 : ¥ 500
出版元 : 小学館
発売日 : 2002-12
カテゴリ : 文庫
ランキング : 383953
価格 商品名 納期
¥ 500 「菜園の旬」12か月 通常2〜3日以内に発送
 よだれモノ

作り手よりは食べ手に回ることが多い小生としては、
野菜たちを育成する場面より、
実際に収穫して食すくだりが大好きです。
表現がとてもステキで、思わず、
俺にも食わせろ!と、よだれモノです。

お得意の「擬音」の表現が特にいかしてます。
食欲をそそるもののひとつに音もあるのですね。

活字だけで食べ物のシズルを表現しているところに感心しました。
昨今のバーチャル・リアリティーの世界に浸っているやからには、
スーパーマーケットのトマトでも食わせておきましょう。

トマトと言えば、小生、居酒屋にて年がら年中
「冷やしトマト」なるものをオーダーしておりました。

私の場合は極度の野菜不足なので、トマトの旬にまで頭が回りません。
しかしこの本を読んだ後つくづく痛感したことがあります。
私もたまには、心に「鶏糞」を、
身体に「苦土石灰」を播かないと、
この先、仕事も人生も永くはないな、などと思うのであります。

 読者の心を動かす力

タイトルと表紙写真は感心しないけど、内容は素晴らしい!
類書が多いので期待しなかったのですが、
三人称形式で描かれる序文の洒脱なこと、
詩情までも漂わせているのに、ついつい引き込まれてしまいました。
文章は簡潔で無駄が無く、心地よいリズム感があって力強い。
エッセィとしてもハウツー物としても読者を満足させる好読み物。

野菜の生長を見守り、命あるものとして交歓し、
口にするまでの過程の描き方が、すこぶる文学的で読む者の共鳴を誘います。
著者にいざなわれ読者が疑似体験できる、
そんな気にさせるのが最大の美点ですね。
随所に見られる近代農法への批判は、
ひとりよがりに陥らず、類書に多い過激な攻撃性は抑制されていて、

適度な薬味効果となっているのは、企んで出来ることでなく、
著者のお人柄なのでしょう。
これが声高のイデオロギーになってしまうと、
エッセィとしての純度は台無しになってしまいます。
「少年のころに噛った本物の味の記憶をたよりに」と記す通り、
今は遠い、初恋のひとへの思慕を綴った郷愁の物語、
とも読めなくはない。

このジャンルでは『カワハギの肝』、『羊飼の食卓』、
『土を喰ふ日々』が いずれも味わい深い名著となっているけど、
こちらの方が自分でも実践してみたい、と読者を動かす力で勝っています。

 「いますぐ新鮮な野菜を食べたい」気持ちにさせてくれる本

『「菜園の旬」12か月』は趣味人のマニアックな書ではなく、
エコロジストの強烈なメッセージの書というものでもなく、
菜園づくりを通して人々が感じているであろうことを、
気楽にまとめた楽しい読み物です。
何より分かりやすく飾らない文章が、
「いますぐ新鮮な野菜を食べたい」気持ちにさせてくれます。
僕はとくに「京菜」のところで

「いますぐ京菜を食べてみたい」という気持ちにさせられました。
また僕もどういうわけだか筆者と同様に「ナンバ」が大好きで、
いつの頃からか「ナンバ」が不味くなってしまったこと、まったく同感です。

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